Comedology(コメドロジー)|お笑いを学術的に解剖する

金属バットが新NISAを語る時代―「己の身を己でなんとかせい」に見る令和の資産形成

THE SECONDの決勝で、観客を圧倒するような漫才を披露した金属バット。

彼らの魅力は、どこか世の中から距離を取りながらも、独自の価値観を貫く姿勢にある。いわゆる「優等生」とは対極の存在だ。

ところが最近のインタビューでは、そんな金属バットが新NISAや株式投資について語っていた。

無頼派芸人・金属バットが語るまさかの資産運用…「株はファンクラブやから」の教えで始めた二人の推し株とは(集英社オンライン) – Yahoo!ニュース

老後、お金、年金、将来への備え――。

一見すると彼らのイメージとは結びつかない話題だ。しかし、そのギャップこそが現代社会を象徴しているようにも思える。

この記事では、金属バットの発言を手掛かりに、「なぜ令和の芸人が資産形成を語るのか」を考えてみたい。

金属バットと新NISA。この意外な組み合わせ

インタビューで印象的だったのは、友保隼平さんの言葉だ。

「己の身を己でなんとかせい」

もちろん笑いを交えた発言ではある。

しかし、この一言には現代人の実感が凝縮されているように感じる。

年金制度への不安。物価上昇。長寿化。雇用環境の変化。

以前よりも「将来は誰かが何とかしてくれる」と考えにくい時代になった。

芸人も例外ではない。

むしろ芸人という職業は、もともと会社員以上に不確実性の高い世界である。

だからこそ金属バットの新NISA談義は、単なる投資の話ではなく、「不確実な時代をどう生きるか」という話として読める。

「株はファンクラブ」という名言

今回のインタビューでもう一つ印象的だったのが、ガクテンソク・奥田修二さんの説明だ。

「株っていうのはそもそもファンクラブやから」

これは投資初心者にとって非常に分かりやすい例えだと思う。

株式投資というと、

といった難しいイメージが先行する。

しかし本質的には、企業の未来に期待して資金を託す行為でもある。

友保さんがコーナンのエピソードを熱弁していたのも面白い。

企業の対応に感動し、「この会社を応援したい」と思う。その感覚は、確かにファン活動に近い。

実際、多くの個人投資家は「この会社の商品が好き」「このサービスを応援したい」という気持ちから投資を始めている。

(私の場合は入口がインデックス投資であり、ポートフォリオはインデックスファンドが多くを占めている。)

なぜ今、新NISAなのか

昔は「貯金しておけば安心」と言われる時代があった。

しかし現在は状況が変わってる。

銀行預金の金利は依然として高くなく、一方で物価は少しずつ上昇している。

つまり、お金をただ置いておくだけでは、実質的な価値が目減りする可能性がある。

そこで注目されているのが長期・積立・分散投資です。新NISAは、そのための制度として設計されている。

投資で得られた利益が一定の範囲で非課税になるため、長期間運用するほど効果を実感しやすいと言われている。

もちろん元本保証ではなく、損失が出る可能性もあり、だからこそ無理のない範囲で続けることが大切だ。

なぜ令和の芸人は投資を語るのか

ここから少し社会学的な話になる。

かつて芸人は「宵越しの金は持たない」ようなイメージで語られることが多かった。

実際に昭和から平成初期にかけては、

という価値観がある種の美学として存在していた。

しかし現在は違う。

若手芸人ですらSNSを運用し、自らマーケティングを行い、オンラインサロンや配信を活用する時代だ。

芸人も一人の事業者として振る舞うことが求められている。

その結果、「お金の話」が以前よりもずっとオープンになった。

実際、近年のお笑い界では投資や資産形成の話題を語る芸人も珍しくない。

これは芸人が変わったというより、日本社会全体が変わった結果なのだろう。

THE SECOND世代だからこそ響く話

特に金属バットの世代は興味深い。

彼らは40代。

バブルも知らない。

就職氷河期の影響も受けている。

終身雇用神話が崩れる過程も見てきた。

つまり、

「会社に入れば安泰」

という価値観を最初から信じていない世代でもある。

THE SECONDに出場した芸人たちを見てもそうだ。

長い下積みを経験しながら、自分の力で生き残ってきた人たちばかりである。

だからこそ友保さんの

「己の身を己でなんとかせい」

という言葉には妙な説得力がある。

投資を推奨しているというより、現代人の生存戦略を語っているように聞こえるのだ。

投資は「お金の話」だけではない

小林圭輔さんの発言も興味深かった。

株価の上下を見たり、企業のニュースを追ったりすることが面白いという。

実はこれも投資の大きな側面だ。

投資を始めると、

に自然と関心を持つようになる。

「なぜこの会社は伸びているのか」「なぜこの企業は苦戦しているのか」

そう考える習慣は、日常のニュースの見え方を大きく変える。

資産形成というとお金を増やす話ばかりが注目されるが、社会を見る視点を増やしてくれることも大きな価値だと感じる。

将来は分からない。でも準備はできる

金属バットのインタビューで最も印象に残ったのは、最後のやり取りかもしれない。

「漫才をいつまで続けられるか分からない」

これは芸人だけの話ではない。

会社員も、自営業も、フリーランスも同じだ。

将来を正確に予測できる人はいない。

だからこそ、

といった備えが生まれる。

新NISAは、その選択肢の一つに過ぎない。

ただ、金属バットのような芸人でさえ将来について考え、実際に行動しているという事実は、多くの人にとって参考になるのではないだろうか。

THE SECONDで見せた破天荒な姿と、新NISAを語る現実的な姿。

そのギャップは面白い。しかし本当はギャップではないのかもしれない。

不確実な時代だからこそ、自分らしく生きながらも備える。

金属バットが語った資産形成の話は、そんな令和的な価値観を映し出しているように思える。

(関連記事)

📌金属バットが「最高得点からの準優勝」で残した、美しき数理的パラドックス


新NISAは元本保証のない投資制度であり、利益が出る一方で損失が発生する可能性もあります。制度の内容やリスクを十分に理解したうえで、自身の判断で活用することが重要です。口座開設を検討する場合は、手数料や取扱商品、使いやすさなどを比較し、自分に合った証券会社を選びましょう。

モバイルバージョンを終了